「ミッドナイト・スカイ」その1

「ミッドナイト・スカイ」(2020年12月11日)劇場公開
・原題「The Midnight Sky」
・原作「世界の終わりの天文台」
・配信Netflix(吹き替え版あり)/AppleTV<配信終了>
・DVD/Blu-ray発売ナシ
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注)以下、ネタばれ有りです。
2049年、ある日の3週間前に世界大戦が勃発。
地球の大部分は放射能に侵されてしまった。
そして、その広がりは早く、人類が住む事が
出来る地域は刻々と狭くなっている。
ここ、北極圏の天文台には、まだ脅威は押し寄せて
いないが、軍による大規模な退去部隊が来て、
残留を希望した老人のオーガスティンただ一人を
残して、地球上のいずこかへ旅立って行った―
彼は、延命治療中で余命いくばくも無い事も
理解していたのだ。
そんな中、彼は誰も居るはずの無い室内で
幼い女の子を見つけてしまう。
必死になって通信機で、連れ忘れの子供の事を
連絡をしてもどこにも繋がらない・・・
自分は病魔にも侵され、その上、子供の世話をする事は
到底出来ない~と、逃げてもいるオーガスティン。
彼女が隠れている場所に出向いて言い訳もするが、
ほって置く訳にも行かず、空腹か?との問い。
彼女は、小さい頭で返答した。
食卓のイスに座って、絵を描きながら食事を取る
彼女に声をかけても返答はない。
オーガスティンが耳の横で指を鳴らすと振り返る―
言葉を話す事が出来ない様だ。
名前を聞かれた彼女は、文字では無く描いている
花の絵を見せて、彼に自分の名前だと分からせた。
アイリス?
彼女は、愛くるしい表情で、小さい頭を縦に動かした。
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以前、APで見た「グリーンランドー地球最後の2日間」。
見た印象が自分の予想と違った作品だった。
自分が記憶していた作品は、地球最後の老人と少女が
宇宙船のクルーと交信する心温まる作品。
それが、なんとなく再生したNetflixのこの作品の方でした。
始めの鑑賞は、作業の横でチラ見しながらの視聴。
印象として1959年の映画「渚にて」と同じだったので、
宇宙船を入れたSF仕様のリメイク作品?だと勘違い。
本編中に使われていた白黒映画の映像もその作品
っぽかったしね。
そう言えば、女の子はどこに行ってしまったのかな?
チラ見だったのでザックリとしか見ていません。
それで、いろいろ気になって検索。
良い評価も有るけれど、厳しい評価も目立ちます。
・女の子はカワイイ。
・食べ物で遊ぶのはいけない事ですヨ!
・北極で水中に沈んで生きている訳ない。
・話が分かりずらい・シナリオが悪い。
・子供を持つ親に見てもらいたい。
・シンプルに見ると感動する。
・SF・ファンタジー 作品
原作が有る事もこの段階で知りました。
(実は本編の初めにも表示)
監督は、俳優のジョージ・クルーニー。
彼の監督作品は「ミケランジェロ・プロジェクト」
(2014年)しか見ていません。
話は第二次世界大戦中の、ナチスの略奪美術品を救え
~的なお話。
娯楽的に面白くなる話なんですが、自分にとっては
あんまり印象に残らない作品でした。
そんな良い印象のない監督作品だったので、今作も
一歩引いて見ていた訳です。
それでも、この作品のキモである<アイリス>
歳は7~8才の設定。
少女と言うよりもっと小さくて4~5歳に見える
時も有る愛くるしい子供(幼女)。
そんな話す事もできない子供が頼れる相手は、
死が目前に迫っている病弱な老人。
その上、確実な死をもたらす放射能も迫って
来ている危うい状況。
老人と一緒に亡くなってしまうのか?
一人残されてしまうのか?
さらに悲しい運命が待っているのか?
この辺りが一つの見所で有り、心配するあまり、
有る感情が自然と湧き上がって来る仕様です。
親目線であり、母性愛的な感情ってヤツです。
まあ、自分の歳なら姪っ子に対する思いかもしれません。
この感情は、お歳がお若い観賞者さんには
分からないかもしれませんね。
そんな地上側とは別に、地球との交信が途絶えて
途方に暮れていた、木星の衛星探査を終えた帰還船
(アイテル号)の話も加わります。
実はその衛星は人類が生存できると判明したばかり。
女の子と出会う前に、老人はこの帰還船とクルー
の事を知り、地球の残状と木星の衛星に引き返す案を
知らせなければならないと、使命感を持ったばかりでした。
そんな中、彼らの居場所にも放射能が迫り、交信用の
設備の性能が悪い事も有って、二人は交信力が強い他の
施設へスノーモービルで移動する事に―
そして、その行程での3つの試練。
どうにか、別の施設に到着し帰還船との交信が
出来たものの、その地も、もうすでに・・・
そして話が収束して行く―
この話が分かりにくい~と言う評価は、映像やセリフで
材料を与え、映画を見ている観客の判断に任せている点。
わざと、分かり易い演出表現を避けている様に思えます。
素直に見ると、シンプルなストリーなのですけれどね。
敢えて不親切に作っているのです。
それもこれも、アイリスの存在自体の理由付け。
そう思わせるワナがあちらこちらにちりばめています。
ちなみに、宇宙船内には環境ホログラムという仮想空間
を作って、家族の団欒の中に自分の身を置けるシステムが
有るのですが、この画像自体そんなに鮮明ではないし、
スタートレックのホロデッキみたいに物質的に触れ合う事は
出来ません。
この表現も一つのワナ。
行程の試練の中の一つも、現実か?意識を失っている時の
幻なのか?それすらも判りません。
現実ならば、そんな事ないだろう~になるのです。
そんな、不親切な作品ですが、最後まで見終わって、
自分なりの親目線などで、子を思う内なる母性愛の
様な感情や家族の大切さに気が付けばそれで良いのでは?
という印象。
そんな単純な優しさを気づかせる作品でした。
そんな事で、アイリス役の女の子のキャスティングも
重要になってきます。
この子に対して同情や親目線が湧かなければ、
作品の評価は自然とキビしくなってしまうのでしょう。
グリーンピース遊びの件で、拒否反応を示せば終わる
かもしれません(この遊びも理由付けが有ります)。
自分としては、彼女のキャスティングの勝利でした。
数年前の作品なので、多くの方のブログで書かれている
検証とダブルと思いますが、
次回、ネタバレを含めて、自分なりのストーリーで
話をなぞろうかと思います。
・アイリス=花の名前
花言葉は、希望・吉報など前向きの意味が多い。
ファンタジー作品に良く使われる名前との事も。
他、虹の女神イ-リスの英語読み。
・アイリス=眼球内に入る光を調整するリング状の部分
中央の黒目の外側部分ですが、この意味を意識しているのか、
彼女の瞳の印象が残るシーンがいくつか有ります。
同時期に公開されたミュージカル映画「イン・ザ・ハイツ」。
こちらの娘さんもアイリスでした。
自分が知らない(覚えていない)だけで、意外とベタな
お名前なのかナ?
今作では、ヒヤシンス も母親名で出て来る。
アイテル号の太陽光パネル(?)も花状だし、防壁形状も
つぼみっぽく見えなくもない。
宇宙船自体は、デザインをアレコレ語る系の物ではないです。
降下艇はシャトル系のカッコ良いタイプ。
・「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」
で、最後にデス・スターによって亡くなってしまった
ジン・アーソ=女優さんのフェリシティ・ジョーンズ。
ずっと、死んでしまう設定バージョンにモヤモヤ
していましたが、今作では希望となって生存。
このキャスティングには、ジョージ・クルーニーさんに感謝です!
妊娠の設定は、現実のおめでたを作品に反映した結果との事。
・保護者と幼い子。
この組み合わせは 感情移入できる「子連れ狼」的なパターン。
今作は、話す事が出来ない子供が相手なので、マンダロリアンの
マンドーさんとグローグーとの組み合わせに近いかナ?
厚着の防寒具を着ていると、グローグーの印象に強く重なる。
・アイテル号での死亡原因。
シナリオでは、原作の様な地味な死亡だったのを、
本編の様に変更したとの事。
これらの情報もネット上に書かれていました。
また、配信作品を見れないお方は、動画サイトでレビー
を見ると良いと思います。
良くまとまめてあるレビューも有りました。
それと、ジョージ・クルーニー・アイリス役の女の子・
レビューアーの3人による3画面構成のインタビュー動画も
見る事が出来ました。
それを見ると、アイリス役はまだ歯の並びも悪い普通の
幼い外人のお子さん(映画は人を化けさせるからね)。
質問に背筋を伸ばす所に好感が持てました。
本当、最近の洋画では自己主張が多い少し生意気ギミの
子供役ばかり見ていたので、今作の様な謎めいた静かな
子供の演出には久しぶりに新鮮な気持ちになりました。
<参考>
<<サントラ情報>>
・サントラCD海外版(廃版かも)
・サントラ配信販売あり(アマゾン)他所は不明
・予告編での使用曲。
レディオヘッド 「ノー・サプライゼズ」
(Radiohead:No Surprises)(配信あり)
・本編タイトルの続きで、オーガスティンがウィスキー、
薬を飲み、輸血をしているシーンで流れている曲。
クリス・ステイプルトン「テネシー ウィスキー」
(Chris Stapleton:Tennessee Whiskey)(配信あり)
・アイテル号での修理シーンで流れる、ノリノリの曲。
ニール・ダイアモンド「スイート・キャロライン」
(Neil Diamond:Sweet Caroline)(配信あり)
<<映画情報>>
「渚にて」(1959年作品)
・製作・監督 スタンリー・クレイマー
・2時間 14分
・Blu-ray(吹き替え版収録)発売中
「エンド・オブ・ザ・ワールド」(2000年作品)
・「渚にて」のリメイク版(TV作品)
・3時間28分
・監督ラッセル・マルケイ
・DVD廃版・Blu-ray未発売
地球終末物です。
両作共にハデなディザスター場面が無いドラマですが、
お勧めです!
<2024/05/01更新情報>
上記情報欄(05/02、下の参考欄に移しました)に劇中などで使用
されている曲を記載いたしました。
自分は某Aで配信曲など購入して、どっぷりこの作品に浸かっています。
予告編に使われている「Radiohead:No Surprises」なんて、
夜、掛けっぱなしのラジオで流れて来た際、自然と気が付いて
起きてしまうほど・・・良い曲です!
他の曲も当然良いですヨ!!
<2024/05/09更新情報>
AppleTVでの配信は終了している様です。

