「ふたりのロッテ」その2 1994年版_01

ジョセフ・ヴィルスマイヤー(Joseph Vilsmaier)は、ドイツの
映画監督。
ドイツ軍物の反戦映画、1993年版の「スターリングラード」
(Stalingrad)を撮った監督と言えば、思い出す方も多いと
思います。
監督の作品リストは、wikipediaの原語名:Joseph Vilsmaierを
見ると詳しいです。
自分は、彼の作品をほとんで見ていない事が判りましたが、
これを見ると、硬軟色々なジャンルの作品を監督している事が見て
取れました。

で、今回の邦題「ふたりのロッテ」(国内公開1995)。

原題「Charlie & Louise-Das doppelte Lottchen」(1994)
直訳「 チャーリー&ルイーズ-ふたりのロッテ 」

「スターリングラード」の後に彼が監督した作品です。
さらに、撮影も(パンフには制作にも関わっていると―)担当。

激しく、残酷な作品の後に、心温まる児童小説の作品を監督
した事は、彼としても普通の人間の感覚を取り戻す為にも
必要な工程だったのかも知れません。

さて、この1994年版は、原作の舞台を1994年の現代に置き換えた
バージョン。
その為、古い設定部分や話の作りを脚色して、多くの部分が現代化
+オリジナル化されています。

wikipediaなどによると、名前も現代のイメージに変更したと書か
れ、情報交換の手段は手紙から電話、親の職業も父は小さい劇団の
作曲家、母は広告業界人と今風に変更して、生活上の豊かさの立場
も時代に合わせて逆転。
ワンちゃんは、父方の行きつけのお店のマスコット犬。
そして、「ふたりのロッテ」は、今作も本物の双子さん。
父側のやんちゃ娘は愛称”チャーリー”こと、シャルロッテ。
母側のきまじめ娘がルイーズと変更されています。

以下、ストーリー込みの雑感です。

初めのサマーキャンプのシーンは、映画オリジナルの展開を入れた
ため、少し足りないです。
でも、親の離婚で泣き出す子の場面や、髪の長さや服を同じにして
皆を騙す場面も有るし、必要な部分は揃っている印象。
海外版のblu-rayではオリジナルの予告編が収録されていて、カット
されたプールの場面が1場面観れます。
それと、本編中で浮き輪が出ない代わりに、セリフの中でワニ~が
出て来ました(吹替え版)。

その後、入れ替わって、父と、母と―
この場面のチャーリーとルイーズの表情一つ一つ取っても
カラー作品である事が幸いして、感情が伝わり、セリフと共に
初々しく涙を誘います。
ただ、入れ変わってからの諸々の部分も少ないのが残念。
話の作り(時代的にも)を変えている事も有って、お手伝い
さんも絵描きさんも居ないくて、いじめっ子さんも未登場。
一応書いておきますが、本編中の試験の入れ替わりはヤバイ
ですヨ~(パンフレットには、実生活上で本当の先生は騙せな
かった~なんて裏話が書かれていました)

そして、1950年版では原作通りだった「あなた~なの?」
の場面。
原作とは異なった展開のアプローチで、泣かせモード全開。

ここで流れる曲がテープレコーダーで再生される
「Charlie & Louise」
スイッチを押した本人はこの曲の意味を知りません

この曲を聴いた母は、全ての疑問が結びつき・・・

多分、この映画を観た多くの方は、この曲を聴くと条件反射的
に涙が出てしまうぐらい刷り込まされてしまうと思いますよ。
原作での”写真 ”から、”思い出の曲 ”へ変更したのは、この
作品で一番成功した部分だと思います。

反面、元が児童書って所も有るでしょうが、原書を読んだ頃から
感じていた父と母2人。
それぞれ結婚に向かいつつ相手が居るのに、互いの思いの高まり
感の表現は弱く今作も同様。
まあ、原書では男にとって都合の良い展開とも読み取れましたが、
今作はさらなる演出上での逆転劇があります。
(そう言えば、原書ではお母さんのお相手はいたかな?)

今回は以下の様に想像しましたが、どうでしょうか?

監督は先の作品「スターリングラード」で、むごたら
しい戦場での生死を描いているので、戦地に赴いた父や
息子、無事を思う内地の父や母、あるいは妻や子供。
引き裂かれた家族間の心情を深く思い描いていた事は
想像できます。
戦争映画に良く描かれているパターンですね。

ここからは映画オリジナルの展開。

この作品のオリジナルの舞台となる ” 灯台 “ 。
前半では、”危険 ”入るな ~の様な 塞がれている
木板を2人は破って中に入る。
中にはガラクタが沢山あり、秘密基地の様な感じ。

”危険な場所 ”

この灯台を舞台とする後半の展開。
下の様に戦争映画風に考えると判りやすいかもしれ
ません。

娘たちは、自分達の思い通りにならない事で楽しかった
サマーキャンの地、灯台へ家出。

“若者が勇ましく無謀な戦場に向かうイメージ”。

その後、両親が子供を心配する場面が入る。
当然、入れ替わった2人と過ごした期間の思い出も
振り返っているとも思う。
(父よりも母の方が心配度強し)

“ここは、戦地へ赴いた者を心配する場面 ”

そして文字通り戦場と化している灯台。
嵐の為、暴風雨が吹き荒れています。
2人は内側の扉が閉まって閉じ込められ、
そこから2人を救おうとして両親は奮闘する事に。
外の雨風の豪雨は激しい戦いそのもの。

父は外で、母は中で、奮闘(戦い)。
さらに父も加わった内側での共同の戦いで鉄柵(敵)を
壊して二人と再会して抱きしめる。

“攻守・立場がゴッチャになっていますが、あくまで
イメージです”

単純に、戦争や兵士として別れ別れになった家族間の再会の話
として考えれば、ここで一区切り。
この段階では戦場から、あるいは戦闘から無事に戻った子供と
両親の心情。
4人がそれぞれ、家族の大切さを思い知っている場面として解釈
出来れば好都合。
(ここでは敵にもご両親とかいる事は考えないで)

“上に書いた 戦い に例えなくても結論が同じなら、なおOK”

さらに、2人の娘は、無謀な家出をした上に両親に迷惑をかけて
しまったため深い負い目も(大人しくなる)。

でも、やっぱり父と母が互いに思い寄る場面は見つかりません
でした。
もう一度、本編を見直しましょう。

長くなったので、次回へ―

<主要な撮影場所>

先に「蛍の光」の元曲が、スコットランド民謡~と言う事を
この作品で知りました。
「スコットランド」
・ドイツの駅からスコットランドへは電車では行けないだろう~との
コメントがレビューでは上がっています。
検索すると2~3回の乗り換えで、ルートはあるみたい?(開通した?)
・蒸気機関車:一部区間のみ観光客向けに運行している。
・サマーキャンプの場所:カービスデール城
2011年ぐらいまでユースホステルだったみたい。
・アードナマーチャン灯台(Ardnamurchan Lighthouse)
スコットランド西海岸に有る現役の灯台。
「ドイツ」
・グレート・プレン湖(Großer Plöner See)ボートの場面。
もしかしたら、寄宿学校として使われていた後ろに見えるプレン城の中
で、髪を揃えている場面やプール(有るのか不明)の場面が撮影された
のかも?
・ハンブルク中央駅(Hamburg Central Station)
サマーキャンプ場に向かう・最後のシーンなどの駅

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